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プラットフォームデザイン・ラボ通信

7 11月 2018

「学習系システムにおけるクラウドを用いた高等学校遠隔授業運用ガイドブックVol.1.0」を発表

                  慶應義塾大学SFC研究所プラットフォームデザイン・ラボ
             「学習系システムにおけるクラウドを用いた高等学校遠隔授業運用ガイドブックVol.1.0」を発表

開発の概要
これまでは、全国の高等学校が遠隔授業を行う際には、大型のIT設備及び大規模ネットワークを構築することが求められ、そのハードルは全国の高等学校での遠隔授業推進における代表的な構造課題でした。本ガイドブックにより一般家庭やオフィスに存在するIT設備やさらにはインターネットとクラウドシステムを用いて初期費用を抑え、低コストに遠隔授業を開始することが可能になります。
なお、本ガイドブックは、政府戦略を踏まえ文部科学省に設置された「遠隔教育の推進に向けたタスクフォース」(以下「タスクフォース」という。)からの依頼を受け、SFC研究所と長崎県が協力し実施してきた遠隔授業の実践※1等をもとに取りまとめたものです。

遠隔授業推進の現状
遠隔教育は、教育を必要とする人に地理的差異無く高品質の教育を提供するための道具と定義されます。2015年4月、学校教育法施行規則の一部を改正する省令(平成27年文部科学省令第19号※2)は、高等学校における遠隔授業を解禁し、それ以降、全国の全日制及び定時制課程の高等学校において、卒業単位の約半分(74単位のうち36単位まで)を遠隔授業によって履修することが可能となりました。その後、2017年6月に閣議決定された規制改革実施計画は、高等学校における遠隔授業の本格推進のための施策方針に関して平成29年度検討開始、平成30年度上期結論という政府戦略を示しています。これを踏まえ、タスクフォースにおいて「遠隔教育の推進に向けた施策方針」が打ち出され、高等学校において解禁された「教科・科目充実型」の遠隔授業は、その一層の推進を図ることとされています。

今回のガイドブックの意義
本ガイドブック制作の中心を担った梅嶋真樹(大学院政策メディア特任准教授)は、今回のガイドブックの意味を以下のように説明します。
「古くから遠隔授業に取り組む全国の大学、特にそうした動きを先導してきた慶應義塾大学SFCには、多くの先輩方が築かれてきたノウハウがあります。そうした諸先輩の一人村井純先生 (大学院政策メディア研究科委員長は、「インターネット上が学校になる」と言います。また、本ラボ代表の國領二郎先生は、「遠隔授業は、高い質の教育を地理的差異なく実現する道具である」と言います。私は、この15年、全国の高校の現場を歩いてきました。インターネットさえあれば、あとは学内外にある機材をやりくりして初めは設備的にも費用的にも小さく実現する。先生同士が音頭をとり、国内外の学校の教室と教室、教室と研究室、教室と先生、学生と先生を自由な組み合わせで繋げる。これが、いま、必要な遠隔授業であると提案します。

※1 2009年4月、慶應義塾大学と長崎県は、相互の密接な連携協力により地域課題に適切に対応し、活力ある地域の形成と実学の促進に寄与することを目的に、研究・教育活動の推進と地域振興に関する連携協力協定を締結した。
※2 平成27年4月1日・官報号外75号掲載 学校教育施行規則の一部を改正する省令。第八十八条の二:高等学校は文科大臣が定めるところにより、授業を多様なメディアを高度に利用して当該授業を行う教室以外の場所で履修させることが出来る。

公開先
文科省URL http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kaikaku/1358056.htm

http://web.sfc.keio.ac.jp/~masaki27/remote/h-remote-education2018a.pdf